糖尿病の合併症の一つで網膜の毛細血管が閉塞して血のめぐりが悪くなり、硝子体の出血や黄斑部の浮腫、さらに進行すると牽引性の網膜剥離を起し視力が低下します。糖尿病における糖尿病網膜症の怖さは、目が痛い、痒い、かすむといった自覚症状のないまま進行することです。目がかすむ、見にくいなど自覚症状が出るころには糖尿病網膜症は進行をしていることが多く、失明という状態を覚悟しなければならないこともあります。
網膜症の初期の段階では血糖を上手にコントロールすれば進行を抑えることも可能ですが、それ以上に進んで、前増殖期および増殖期網膜症ではレーザー光凝固が必要になります。また、この時期には硝子体手術という外科的治療が必要になる場合もあります。
この段階では、高血糖による酸素欠乏でいたんだり、浮腫を起こした網膜の栄養を補うため新生血管という血管ができてきます。この新生血管は本来、健康な眼には存在しないもので、網膜や硝子体に悪影響を及ぼします。
レーザー治療はこの血管の発生を予防し、焼いてしまうことや網膜の浮腫を軽減することを目的とした治療になります。レーザー治療は早期であれば約80パーセント有効で、時期が遅くなると有効率は50から60パーセントに低下します。この治療は網膜症の進行を予防するのが目的で、視力を改善させる治療ではありません。レーザー治療をしても網膜症の進行を止められず悪化していくこともあります。場合によっては硝子体手術という外科的治療が必要になります。