緑内障は、眼圧によって眼球の後ろにある視神経が障害を起こし、視野が狭くなっていく病気です。病気の進行を遅らせるために、眼圧を低くコントロールする事が有効とされています。しかしながら、視神経は一度障害を受けると残念ながら回復しません。緑内障は特に早期発見、早期治療が大切ですので、40歳になったら1度検査を受けることをお勧め致します。
日本人では眼圧が高い緑内障よりも眼圧が正常範囲にありながら視神経が障害されるタイプの緑内障、いわゆるが非常に多く、緑内障全体の7割以上を占めています。そしてこの正常眼圧緑内障は視神経の耐えられる眼圧が低いことや、視神経の血流が悪くなっていることなどが原因として考えられています。
正常眼圧緑内障の初期のころは視野のほんの一部が欠けるだけで、痛みなどの自覚症状はありません。そして知らないうちに視野障害が進行していき、見にくさを自覚したときには視神経の障害がかなり進んでいるということになります。また片眼だけ視野が狭くなっても普段、両眼で生活をしていると見にくさに気付きにくいことが多いのです。そのため正常眼圧緑内障を早い時期に発見するには眼科医の診察を受けるしかありません。緑内障は必ず遺伝する病気ではありませんが、家族や親戚に緑内障の方がおられる人、また近視の強い人などは正常眼圧緑内障になる危険性が高いため、40歳を過ぎれば一度は眼科を受診することをお勧めします。
緑内障は進行性の病気であり、先にも述べましたように一度狭くなった視野は元には戻りません。しかし眼圧を下げることにより進行のスピードを弱めることは可能です。正常眼圧緑内障においても例外ではなく、もともと正常値に入っている眼圧をさらに下げることにより進行を遅らせることができるのです。眼圧を下げるにはまず点眼(目薬)の治療からはじめ、効果が不十分な場合には、レーザー治療や手術治療が行なわれることがあります。すなわち正常眼圧緑内障で何よりも大切なことは早期発見とともに、定期的な眼科通院により点眼治療等をしっかりと続けることです。そうすることにより大半の方は長い年月にわたって視野と視力を維持していくことができるのです。